日本の国際教育協力について
世界には依然1億1540万人の児童が様々な理由から就学できておらず、その内の56%が女生徒です。これらの未就学児童の内、サブサハラアフリカの児童が37%、南西アジアの児童が34%、そして東アジア及び大洋州諸国の児童が13%を占めています。 また、世界には8億6200万人の成人非識字者が存在しています。1980年に約70%であった成人識字率は、2000年になって80%に改善しましたが、この20年間における高い人口増加率を理由に、非識字者の絶対数では大きな改善につながっていません。成人非識字者全体の3分の2が女性で、未就学児童と同様、女性のエンパワーメントが、貧困削減の大きな鍵を握っていると言えます。 これらの深刻な現状を受け、2000年の4月、アフリカのセネガルの首都ダカールにおいて、世界教育フォーラムが開催されました。181ヵ国の政府からの代表、31の国際機関やNGOなどから約1500名が参加した同フォーラムでは、2015年までの初等教育の完全普及や2005年までの初等・中等教育における男女就学格差の是正などを目標とする「ダカール行動枠組み」が採択されました。途上国における教育の現状を改善し、万人に教育へのアクセスを確保すべく、途上国及び先進国が共に行動を起こすことが約束されました。また、同年9月に開催された国連ミレニアム・サミットにおいて採択された国連ミレニアム開発目標においても、具体的な教育分野の目標が定められ、途上国への教育支援の世界的な流れが確立されました。
※ 外務省と文科省の協同作成パンフレット「EDUCATION FOR ALL: JAPAN'S ACTION」より引用
こうした中、2002年6月、我が国はカナダで行われたカナナスキス・サミットの際に、新たな教育支援策(成長のための基礎教育イニシアティブ:BEGIN)を発表しました。
2000年9月の国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」に基づき、1990年代に開催された主要な国際会議やサミットなどで採択された国際開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめられたものです。2015年までに達成を目指す8つの目標と18のターゲットが揚げられています。教育に関するものは、以下のものです。
極度の貧困及び飢餓の撲滅
普遍的初等教育の達成
男女平等及び女性の地位強化の推進
乳幼児死亡率の削減
妊産婦の健康の改善
HIV/AIDS、マラリア、その他の疾病との闘い
環境の持続可能性確保
開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
1990年にタイのジョムティエンで開催された「万人のための世界教育会議」において確認されたイニシアティブ。現在では、2000年にセネガルのダカールで開催された「世界教育フォーラム」で確認された「2015年までの初等教育の完全普及」「2015年までの成人識字率の50%の改善」等教育分野における6つの具体的な目標(「ダカール行動枠組み」)を達成することを意味します。
2000年4月、セネガルのダカールで行われた「世界教育フォーラム」で採択された目標で、具体的には以下の6つです。
1. 最も恵まれない子供達に特に配慮を行った総合的な就学前保育・教育の拡大及び改善を図ること。
2. 女子や困難な環境下にある子供達、少数民族出身の子供達に対し特別な配慮を払いつつ、2015年までに全ての子供達が、無償で質の高い義務教育へのアクセスを持ち、修学を完了できるようにすること。
3. 全ての青年及び成人の学習ニーズが、適切な学習プログラム及び生活技能プログラムへの公平なアクセスを通じて満たされるようにすること。
4. 2015年までに成人(特に女性の)識字率の 50% 改善を達成すること。また、全ての成人が基礎教育及び継続教育に対する公正なアクセスを達成すること。
5. 2005年までに初等及び中等教育における男女格差を解消すること。2015年までに教育における男女の平等を達成すること。この過程において、女子の質の良い基礎教育への充分かつ平等なアクセス及び修学の達成について特段の配慮を払うこと。
6. 特に読み書き能力、数学的識字力、及び基本となる生活技能の面で、確認ができかつ測定可能な成果の達成が可能となるよう、教育の全ての局面における質の改善並びに卓越性を確保すること。
日本政府が打ち出した途上国が行う基礎教育普及のための取り組みを支援するための枠組みです。概要は以下のようになっています。
1.支援に当たっての基本理念
2.重点分野
3.日本の新たな取り組み